ロンドンからの帰国 | 逸脱と研鑽の公案

ロンドンからの帰国

ロンドン4+1日め。とうとう帰国日となりました。
時差ぼけ対策のため、夜半から朝空港に行くまでボケーっと過ごし、
毎旅恒例の「旅の振り返り」をいたしました。

***************************************
前のコラムで少し触れましたが、当地への滞留はこれで3回目。

1回目は中坊時代の英語武者修行、2回目は大学時代の欧州お遍路行。
過去2回は、私、ロンドンに対してあまりいい印象を持ちませんでした。

飯がまずい、物価が高い、外人(特に東洋人)に対して冷たい、
という3つの印象からかと思います。
異国である以上、なんらかの違和感があって然るべきで、
これに対し、良いとか悪いとか言っていても、それはただのワガママ。

それだけじゃくやしいから、旅こそ学習の母なので、もすこし考えてみる。
これら「感じた違和感」を、受け止めたり、超えたりすることに、
自分を豊かにする成長を見いだせそうか、ということに注目してみる。

過去2回はここまできちんと考えられていなかっただけで、
実は結構いい勉強だったんだぁ、と思いました。

味/金額/冷たさ、これら3つの違和感は、煎じ詰めると、
「都会の大人」としての自分のレベルを思い知らされるということであり、
これとの対決は実は、「大人道」修行であったのです。
そんな大人になりたいかどうかは別として。

これまではとてもガキだったので、当たり前ですが私はロンドンから却下され、
こちとら願い下げと、ロンドンを却下しておりました。
***************************************

さあ、今回はどうだったか。

この街は、21世紀になってすっかり変化していました。
街をただふらつくだけで、地球上の代表的な言語は大抵聴くことができるほどに、
恐ろしく住民の国際化が進んでいました。
身のこなしからみても、露、中、越、伯、泰、南印・・の人々、観光客ではありません。

この生活者の多様化により、過去のロンドンを強く印象づけた、
「飯がまずく、物価が高く、外人に冷たい」街から、
「いろんな食文化のMIXに出会え、物価はバカ高く(涙)、地球を歩いてる感じがする」街に。

欧州圏でのグローバライゼーションの権化になったがゆえに、
そうです、この狭い街は、文字通り「地球化」しているのです。すげー。
恐るべし、大英博物館の地霊。

過去のロンドン体験は完全アウェーゲームでしたが、
今回はホームもホーム、地球に来てしまったので、強いて違和感と言えば、
「通貨」「ビール頼むとき、パイント制だ」「日照時間」「コンセントの形」
というレベルです。
なんてライブな違和感でしょう。

百聞は一見に如かず。
グローバライゼーション、ってシャカリキに学んだり、ビビったりする前に、
この街に来ればて、歩くだけですぐに体でわかります。

埋没しようが唯ひたすら歩く、それに価値のある街であり、
グローバライゼーションへの態度も、それでいいと思うことができました。

止観唯歩。これも21世紀の一つの大人道かも。なんせ道ですから。

そこはもうイタリア



って、朝早くホテルのテラスでビールを飲み飲み考えていたら、
どこからともなくワラワラとイタリア人のおじさんおばさんが現れ、
立っておしゃべりに興じだした。

今、ここはもうイタリアなのでしょう。さあ、次はどこだろう。